突然ですが、小説を読むって、ハードルが高いと思いませんか。
今でこそ毎日2時間前後、読書を継続している私でも、初めは手が出しづらい分野でした。
しかし、とある一冊の本をきっかけに、堰を切ったように読書漬けになりました。
今日はその、とっておきの一冊をご紹介します。
早速紹介するのは、アガサクリスティ著「そして誰もいなくなった」です。
おいおい、いきなりミステリのド定番かよ……。
そうお感じになった方もいるかもしれませんが、これで良いのです。
スタートは、あくまで有名どころから。
斜に構え、あえてコアな本を読もうとしても、ベースの読書力がないと、あえなく挫折することになるでしょう。
だからこその、この「そして誰もいなくなった」です。
この作品は一言で言うと、「劇的」なのです。
は? 劇的? なんですかそれは。美味しいんですか。
また素直に飲み込めないかもしれませんが。
「劇的」というのは、私独特のニュアンスかもしれませんが、「西洋の劇場に足を運んだ気分になる」ということを言いたいのです。
読み終えたら、至高の耽美があなたを包み込んでくれるでしょう。
では、話を進めるとしましょう。
かの名著が「劇的」であるのには、当然その分の中に理由がまぶされているわけですが。
まずは、その一つが「構成」じゃないでしょうか。
無駄がなく、隙がなく、手抜かりもない。
そして、お洒落、お洒落、お洒落。俯瞰してみればただただ物騒なのに、読書の最中はそんなことお構いなし。ひたすら織りなされるお洒落に酔いしれます。
実にお洒落で鮮やかで、繊細。しかし大胆でもある。それがアガサクリスティの手に成る作品群です。
次に、「テーマ」がその理由に挙げられると思います。
ネタバレを含むことなく書き記したいので、中々ざっくりとしたことしか話せませんが、この作品にはとあるテーマがあります。
ミステリには欠かせない「犯行動機」が、その本におけるテーマになりがちですが、それはこの名著も同様です。
独特で、ミステリ界でも異彩を放つテーマと言えるでしょう。
最後はなんと言っても、「読みやすさ」でしょうか。
まあとにかく読みやすい。読みやすいったらありゃしない。
こんなに面白いのに、こんなに読みやすくていいのか。それくらい読みやすいわけです。
しかしながら、この誇張には注釈を添えなければなりません。
あくまで、ミステリをそれなりに読んできた身として、初期の読書体験を振り返ったときに、「ああ、あのクリスティのあれは読みやすかったなあ」と思うのであって、小説慣れしていない当初はまあそれなりに語句を検索を繰り返しながら本を読んでいましたね。
それでも、この作品を読了した私にとっては、本当に大切な、かけがえのない一冊になりました。だからこそ、これを読んでいるそこのあなたにも読んでみてほしい。
読書なんてものは、競争じゃない。ペースは人それぞれで当然です。だから、極端な話、一日一ページでもいい。どれだけ遅くとも、継続さえすれば、いずれペースを速めざるを得ないくらい、心踊る瞬間がやってきます。
そして、一冊を読み切ったら、これまでに感じたことのない達成感と、クリスティ作品への感銘を抱くことは間違いありません。
てな感じで、本の紹介は以上とします。
気が向いたら、ページをくってみてください。
新しいあなたに、出逢えるかもしれませんよ。